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Kanon Kobayashi/ 小林香音

原田マハ『本日は、お日柄もよく』『永遠をさがしに』

『本日はお日柄もよく』


言葉を操るスピーチライターという職業の話。人を惹きつける、心を動かすスピーチの作り方と話し方のコツがたくさん載っていた。政治家の演説をサポートする仕事の話が移っていくのだけど、言葉だけでまっすぐに真っ向勝負するというのはとても清々しい。上っ面の言葉ではなくて、真心がこもったスピーチは本当に伝わるんだなあと思った。

あと意外だったのは、話すために聞き上手にならないといけないということ。「黙って聞く、その人のことを否定せずに受け止めるという、エネルギーがいる行為によって、話す勇気が得られる。」 言葉は心の表現手段ということを実感。爽やかな物語。





『永遠をさがしに』

一流の世界的指揮者と日本一のオーケストラの首席チェロ奏者との間に生まれた娘(高校1年生)が主人公。本人もチェロの道を挫折して音楽から離れていて、母も家を出て行ってしまうというところから物語が始まる。父までアメリカに行ってしまう。家族との別離の不安、心の孤独と両親が音楽家であるが故の苦悩に、色んな人との交流、出来事があって、本人も周りも変わっていく様子が音楽を通して描かれている。次々に不幸が重なる系になかなか感情が付いていくのが大変だったけれど、最後のシーンは感動した。



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