~アートの歴史(具象→抽象の流れ)、抽象画を見ることで脳内で何が起きるのかを理解できます~
著者E.R.カンデル氏は 脳神経科学者。記憶の神経メカニズムに関する研究(アメフラシのエラ引っ込めの条件反射学習の性質を研究、長期記憶と短期記憶の解明に貢献)により、2000年にノーベル医学生理学賞を受賞した先生。 この本の主題は一つ。 『脳科学と抽象芸術はアプローチ方法が似通っている
(脳科学:複雑な現象を説明するために基本的なレベルで1つ1つの構成要素を調査する
⇄
抽象芸術:イメージを形態、線、色、光からなる基本要素に分解し、鑑賞者の想像力の様々な側面に働きかける) 』
そもそも抽象芸術とは…
例えば超初期の具象画→抽象画の移行の例として、 J.M.W.ターナーが同じテーマで具象&抽象で描いた例を紹介してみます。
1803年の『カレー埠頭』。こちらは具象画。とても写実的に様子を描いています。
一方こちらは1842年『吹雪の中の蒸気船』
同じテーマで描いていますが、具象的要素を排除しています。
→鑑賞者に屹立する波、暴風、襲いかかる雨、自然の圧倒的さを伝える →より強い情動反応を引き起こす
アートの潮流が具象から抽象画に移行する歴史を、どのような点で革新的で、どのようなきっかけがあったのか、とても簡潔に、かつ絵や実験系の図も用いて説明していて分かり易かったです。
ルネサンスの時代は写実的描写を追求(いかに3次元世界をそのままカンバスに表現するか)していたのに、相対性理論、写真技術、無調性の音楽の登場にも影響を受けて、「自然をリアルに描写する必要なくない?」という抽象芸術の世界に移行していった歴史は面白い。
さらに、抽象表現主義の画家たちが皆、具象画家からキャリアを始めて抽象に移行した、という事実は興味深いです👀
また、絵を調べつつ読み進めたのですが、musey.net さんが色んな絵の見方を教えてくれるいいサイトでした!
私は抽象画は全く素人で、今まで、理解できないし正直どう鑑賞していいかわからなかったのですが💦、「どんな時代の流れがあって抽象に移行したのか、とか、何をどのような手法で抽象にしたのか、抽象でどんなことを表現しているのか、(そもそも何も表してないのか)」などが説明されていて、抽象芸術の世界に興味が湧きました💡。 リンク: